フランス文学と詩の世界
Poesie Francaise traduite vers le Japonais
HOME本館ブログ東京を描く水彩画あひるの絵本万葉集をよむプロフィール掲示板| サイトマップ

 盲者たち Les Aveugles :ボードレール


盲者たち

  我が魂よ 彼らを見よ あの恐ろしい姿を!
  マネキンのようでもあり 滑稽にも見える
  夢遊病者のような奇妙な仕草で
  あらぬ方角へ曇った目玉を向けている

  彼らの目からは神々しい火花が飛び散り
  はるか遠くを見るように天空を凝視する
  彼らは決して地上の敷石のほうへは
  重い頭をうっとりと垂れることがない

  永遠の沈黙の兄弟である無限の闇を
  彼らはとぼとぼと歩いていく おお街よ!
  その傍らでお前は歌い、笑い、泣き騒ぐのか

  快感にとらわれて残忍になった私は
  彼らよりもうつろな目で歩きながらつぶやいた
  一体天空に何を探しているのだ この盲者たちは  
  

ブリューゲル「盲人の寓話」

「盲者たち」と題するこの詩を、ボードレールはブリューゲルの絵「盲人の寓話」に触発されて書いたとされる。ブリューゲルの盲人たちは、田園の中の道を、互いに頼りあいながら歩いている。先頭を行くものは他人の足元につまずいてよろけながら画面のこちら側を見ているが、ほかのものたちはみな一様に、縄を頼りにその後に続きながら、天空のほうへと見えない目を向けている。

ブリューゲルはこれを、盲人が盲人を導くことの危うさを表わすものとして描いたのだった。ボードレールはそれに、自分なりの解釈を加えて、この詩を書いた。盲人たちはやはり空のほうを見上げているが、彼らの周りには田園ではなく、街が広がっている。街は盲人たちには無頓着に、歌い、笑い、泣き騒いでいるのである。

この奇妙なコントラストを持ち出すことによって、ボードレールは何を言いたかったのだろうか。


Les Aveugles - Charles Baudelaire

  Contemple-les, mon ame; ils sont vraiment affreux!
  Pareils aux mannequins; vaguement ridicules;
  Terribles, singuliers comme les somnambules;
  Dardant on ne sait ou leurs globes tenebreux.

  Leurs yeux, d'ou la divine etincelle est partie,
  Comme s'ils regardaient au loin, restent leves
  Au ciel; on ne les voit jamais vers les paves
  Pencher reveusement leur tete appesantie.

  Ils traversent ainsi le noir illimite,
  Ce frere du silence eternel. O cite!
  Pendant qu'autour de nous tu chantes, ris et beugles,

  Eprise du plaisir jusqu'a l'atrocite,
  Vois! je me traine aussi! mais, plus qu'eux hebete,
  Je dis: Que cherchent-ils au Ciel, tous ces aveugles?

  

前へHOMEボードレール悪の華次へ

                        

作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2007
このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである