フランス文学と詩の世界
Poesie Francaise traduite vers le Japonais
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ポール・エリュアール 詩の翻訳と解説


ポール・エリュアール(Paul Éluard 1895-1952)は20世紀前半のフランスを代表する詩人である。ダダイズムやシュールレアリズム運動の中心に立って、それまでの型を破る斬新な詩を書いた。政治運動にも関心が深く、第二次大戦前後は、ピカソらとともに共産党の随伴者となって、レジスタンスにも深く関わった。私生活でも三度の結婚をするなど、自由奔放に生きた。エリュアールの詩には、そうした自身の生き方が強く反映されている。

ポール・エリュアールは、日本でもよく読まれている。それについては、加藤周一のエリュアール評価が大きな影響を及ぼした。加藤周一は、エリュアールとアラゴンという二人のシュールレアリスト詩人を高く評価したのだったが、その理由として加藤があげたのは、レジスタンスを通じてかれらが示したフランスへの愛が、フランスの詩を活気づけたということだった。フランスの詩は、加藤によれば、すでに死んだも同然だったのが、エリュアールやアラゴンが、フランスへの愛を歌うことを通じて、新しい命を吹き込んだというのである。

詩を含めた世界の文学の歴史で、祖国への愛が文学のテーマとなり、しかも文学を活気づけたということは、あまりないことだった。愛国文学というべきものは、たしかに存在はしたが、しかし文学の主流となることはなかった。文学は人間の普遍的な感情を表現するものであって、狭隘な愛国心を宣伝する道具であるべきではない、という了解があったからである。

ところが、ポール・エリュアールとかアラゴンといった詩人は、祖国への愛の感情を詩として表出し、その詩で歌われた感情が多くの人を魅了した。同国人が愛国心を掻き立てられたというにとどまらず、例えば日本人のように、フランスへの帰属意識を持たない人間にも、エリュアールらの歌い上げた感情は、身に染みるものであった。

そんなわけだから、ポール・エリュアールは、世界の文学史上に珍しい地位を占める詩人である。かれのなかで、人間としての普遍的な感情と祖国フランスへの愛が融合したのである。


マックス・エルンスト Max Ernst:ポール・エリュアール

恋する女 L'amoureuse:ポール・エリュアール


裸の真実 Nudite de la verite:ポール・エリュアール

君の瞼の曲線 La courbe de tes yeux

ぼくが君に語ったのは Je te l'ai dit:ポール・エリュアール

大地は青い La terre est bleue:ポール・エリュアール

彼女がぼくの上に覆いかぶさる Elle se penche sur moi...

悲しみの常夜灯 Le front aux vitres

愛の季節 La saison des amours:ポール・エリュアール

見失ったもの A perte de vue:ポール・エリュアール

悲しみよ こんにちは A peine defiguree

新たな夜 Par une nuit nouvelle:ポール・エリュアール

恋する女たち Amoureuses:ポール・エリュアール

豊穣の瞳 Les yeux fertiles:ポール・エリュアール

ゲルニカの勝利 La victoire de Guernica

自由 Liberte:ポール・エリュアール

恍惚 L'extase:ポール・エリュアール

ぼくは君に語りかける L'absence:ポール・エリュアール




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