フランス文学と詩の世界
Poesie Francaise traduite vers le Japonais
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ブロンドの林:レミ・ド・グールモン


ブロンドの林(壺齋散人訳)

  わたしは恋する女の愛に満ちた肉体です
  わたしの葉は澄んだ涙にくれた睫毛です
  わたしの白い昼顔の花は瞳のように開きます
  そこいらに可憐に咲いた青いチサの花は
  星のようで 望みのようで 微笑のよう
  わたしは恋する女の愛に満ちた肉体です

  わたしは恋する女の愛に満ちた肉体です
  わたしの蔓はふさふさとした髪
  わたしのサンザシは耳のように葉末を巻きます
  すずらんは白い歯 野バラは鼻
  リンドウの花は唇より赤い
  わたしは恋する女の愛に満ちた肉体です

  わたしは恋する女の愛に満ちた肉体です
  わたしの柳はなで肩のプロフィール
  わたしのヤマナラシは欲望に震える腕
  わたしのジギタリスはか細い指
  わたしのモーヴの花は爪の丸みより繊細
  わたしは恋する女の愛に満ちた肉体です

  わたしは恋する女の愛に満ちた肉体です
  わたしの華奢なポプラはしなやかな輪郭
  わたしの白くて硬いブナはひきしまった胸
  わたしの大きなプラタナスは黄土色の樹皮の楯を
  お腹のように突き出しています
  わたしは恋する女の愛に満ちた肉体です

  わたしは恋する女の愛に満ちた肉体です
  赤い蕾 血がにじんだような雛菊の蕾よ
  あなたは清らかな花びら 処女の乳房
  アネモネはお臍 山林檎は乳首のまわり
  ブラックベリーはほくろ ヒアシンスは血管の青み
  わたしは恋する女の愛に満ちた肉体です

  わたしは恋する女の愛に満ちた肉体です
  私の楡の木には くぼんだ腰とお尻がすてき
  私の若い樫の木は手足を伸ばし
  榛の木の裸の足は泉の中にアーチを描く
  わたしにはブロンドのコケと 神秘と陰があります 
  わたしは恋する女の愛に満ちた肉体です
  
  
レミ・ド・グールモンの最後の詩集「気晴らし」 Divertissement は1912年に出版された。そのときグールモンは50をとっくに過ぎていたのであるが、その老いの情熱の中から、女の妖しい美しさを歌った一連の詩を生み出したのだった。それらはいわば彼にとっての白鳥の歌だったわけである。

この詩の中で歌われている女性たちは、青春のみずみずさに満ちた乙女たちではない。成熟して枝から落ちそうになっている果実のような女たちである。ときには妖しい毒のようなものを放つこともある。

グールモンが特定の女性を念頭に置いて、これらの詩を作ったのかどうかはわからない。彼は晩年、レズビアンの女性と親しく交際し、その女性をアマゾネスと呼んでもいたが、あるいはその女性がモデルになっているのかもしれない。

グールモンは結核性の潰瘍によって、醜いあばた面になってしまったため、女性との間で、深いコンプレックスを感じ続けていた。この詩集の中には、そうしたコンプレックスがのぞいている形跡がある。


「ブロンドの林」と題したこの詩は、女性の肉体を木々の林に喩えたものだ。或はこじんまりとした林の形を女性の肉体にたとえたものとも、言い換えられる。読者はそこに、ゆがんだエロティシズムを感ずるだろう。






La foret blonde - Remy de Gourmont

  Je suis le corps tout plein d'amour d'une amoureuse,
  Mes herbes sont des cils trempes de larmes claires
  Et mes liserons blancs s'ouvrent comme des paupieres.
  Voici les bourraches bleues dont les yeux doux fleurissent
  Pareils a des etoiles, a des desirs, a des sourires,
  Je suis le corps tout plein d'amour d'une amoureuse.

  Je suis le corps tout plein d'amour d'une amoureuse,
  Mes lierres sont les lourds cheveux et mes viournes
  Contournent leurs ourlets, ainsi que des oreilles.
  O muguets, blanches dents ! eglantines, narines !
  O gentianes roses, plus roses que les levres !
  Je suis le corps tout plein d'amour d'une amoureuse.

  Je suis le corps tout plein d'amour d'une amoureuse,
  Mes saules ont le profil des tombantes epaules,
  Mes trembles sont des bras tremblants de convoitise,
  Mes digitales sont les doigts freles, et les oves
  Des ongles sont moins fins que la fleur de mes mauves,
  Je suis le corps tout plein d'amour d'une amoureuse.

  Je suis le corps tout plein d'amour d'une amoureuse,
  Mes sveltes peupliers ont des tailles flexibles,
  Mes hetres blancs et durs sont de fermes poitrines
  Et mes larges platanes courbent comme des ventres
  L'orgueilleux bouclier de leurs ecorces fauves,
  Je suis le corps tout plein d'amour d'une amoureuse.

  Je suis le corps tout plein d'amour d'une amoureuse,
  Boutons rouges, boutons sanglants des paquerettes,
  Vous etes les fleurons purs et vierges des mamelles.
  Anemones, nombrils ! Pommeroles, areoles !
  Mures, grains de beaute ! Jacinthes, azur des veines !
  Je suis le corps tout plein d'amour d'une amoureuse.
 
  Je suis le corps tout plein d'amour d'une amoureuse,
  Mes ormes ont la grace des reins creux et des hanches,
  Mes jeunes chenes, la forme et le charme des jambes,
  Le pied nu de mes aunes se cambre dans les sources
  Et j'ai des mousses blondes, des mysteres, des ombres,
  Je suis le corps tout plein d'amour d'une amoureuse.

  

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