フランス文学と詩の世界 |
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戻ってきたあの人 Son retour:ヴァルモール |
マルスリーヌ・ヴァルモール Marceline Desbordes Valmore の詩「戻ってきたあの人」Son retour(壺齋散人訳) ああ あの人を憎みたい気持ち だってわたしの心をもてあそんで 涙と愛の炎でいっぱいにしたのだもの 悲しすぎてすぐには治らないわ ああ ほんとうに憎みたい気持ち あの人のおかげで苦しみばかり あの人がいなくならない限り収まらないわ あの人がそばにいて わたしの名を呼ばれたりすると わたしは苦しくてたまらなくなるの あの人が戻ってきてキスされると あのひとがわたしを求めるてのはわかるけど わたしのほうでは隠れたい気分なの たしかにあの人にキスされると あのひとの愛は感じるのだけれど そのうえもう決して去らないなどと あのひとはいうのだけれど 神さま わたしはどうしたらいいのでしょう あの人を再び受け入れるべきなのでしょうか もう決して去らないといっているひとを 口先ばかりで不実な愛でも、愛してしまったものにとっては、かけがいのない愛だ。そんな悲しい愛を、マルスリーヌは両義的な気持ちで受け止める。理性では馬鹿げた愛に見えても、感性で受け止めれば、自分の存在全体がかかっているような、重い愛なのだ。 |
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Son retour Par Marceline Desbordes Valmore Helas ! Je devrais le hair ! Il m'a rendu le mal de l'ame, Ce mal plein de pleurs et de flamme, Si triste, si lent a guerir ! Helas ! Je devrais le hair. Il m'a rapporte ce tourment Qu'avait assoupi son absence : Dans le charme de sa presence, Dans mon nom, qu'il dit tristement, Il m'a rapporte ce tourment. Dans le baiser pur du retour Lorsque son ame m'a cherchee, La mienne en vain s'etait cachee : La mienne a reconnu l'amour Sous le baiser pur du retour. Il dit qu'il ne s'en ira plus : Quelle frayeur dans cette joie ! Vous voulez que je le revoie, Mon Dieu ! Nous sommes donc perdus : Il dit qu'il ne s'en ira plus ! |
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作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2007
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