フランス文学と詩の世界 | |
Poesie Francaise traduite vers le Japonais | |
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我が心に降るは涙 巷に落ちる雨のように それはなんという物憂さが 我が心に染み入ることか かの雨のやさしき響きは 地上を這い 屋根を伝う 疲れ果てたる我が心に やさしく響く雨の歌よ 涙は降る わけもなしに うつろとなった心のうちを 裏切りの気持ちはなきや この悲しみはどこからきたる 涙のわけを知らずというは このうえなくつらきことなり 愛もなく 憎しみもなく 我が心は痛みに満ちたり |
![]() ヴェルレーヌとランボー |
「言葉なき恋歌」に収められた作品には、恋のけだるさを歌ったものが多い。それらの恋が男女の間のものなのか、それともヴェルレーヌとランボーとの間のものなのか、一篇づつから読み取ることはむつかしい。 しかし、ヴェルレーヌはランボーとの共同生活の間、妻のマチルドを思いやることは時にはあったが、それ以外の女に心を引かれたことはない。だから、ヴェルレーヌがこの詩集の中で描く女の姿は、半ば以上ランボーのものだったと考えてよい。 「涙あふるる我が心」と題された作品は、ヴェルレーヌの詩の中でも人口に膾炙される一品だ。この詩にはランボーの短い言葉が添えられている。 「街にはしめやかに雨が降る」というものである。 |
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Il pleure dans mon coeur:Paul Verlaine Il pleure dans mon coeur Comme il pleut sur la ville ; Quelle est cette langueur Qui penetre mon coeur ? O bruit doux de la pluie Par terre et sur les toits ! Pour un coeur qui s'ennuie, O le chant de la pluie ! Il pleure sans raison Dans ce coeur qui s'ecoeure. Quoi ! nulle trahison ?... Ce deuil est sans raison. C'est bien la pire peine De ne savoir pourquoi Sans amour et sans haine Mon coeur a tant de peine ! |
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作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2007
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