フランス文学と詩の世界
Poesie Francaise traduite vers le Japonais
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わたしの心は悲しかった(ヴェルレーヌ:言葉なき恋歌)

 
  わたしの心は悲しかった
  たった一人の女のために

  わたしの心は慰められない
  たとえ束縛されてはなくとも

  わたしの心 わたしの魂が
  たとえあの女から離れていても

  わたしの心は慰められない
  たとえ束縛されてはなくとも

  わたしの余りに高ぶった心が
  その余りに魂に語った

  かかることがあるのだろうか
  火のように熱く惨めなさすらい

  我が魂は心に答えた
  不思議な何かが私たちを

  かくもあの女に結び付けると
  かくも遠く隔たっているのに
      

アンリ・ギュスターヴのポスター

「わたしの心は悲しかった」と題するこの詩は、ヴェルレーヌの特徴である感傷性と音楽性が最もよく調和した逸品であり、彼の一つの到達点を示している。だが、そこには深い精神性は感じられない。どちらかというと、言葉がそれを発した人間とは無関係に、自分自身に酔っているような風情だ。

詩の中に歌われている女とは、ランボーをさしているのだろうか。それとも妻マチルドへの未練を語っているのだろうか。






O triste, triste etait mon ame : Paul Verlaine

  O triste, triste etait mon ame
  A cause, a cause d'une femme.

  Je ne me suis pas console
  Bien que mon coeur s'en soit alle,

  Bien que mon coeur, bien que mon ame
  Eussent fui loin de cette femme.

  Je ne me suis pas console,
  Bien que mon coeur s'en soit alle.

  Et mon coeur, mon coeur trop sensible
  Dit a mon ame : Est-il possible,

  Est-il possible, - le fut-il,
  Ce fier exil, ce triste exil ?

  Mon ame dit a mon coeur : Sais-je,
  Moi-meme, que nous veut ce piege

  D'etre presents bien qu'exiles
  Encore que loin en alles ?

  

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